年末に香港を弾丸で旅をしてきました。今回の訪問ではこれまで探検したことのなかった香港島に滞在することにしました。漠然とですが「中環至半山自動扶梯 / Central Mid-level Escalator / Hillside Escalator / 香港の世界一長いエスカレーター」を探検してみたいと思っていたからです。「それならばエスカレーター近くに泊まればいいじゃない?」ということに。このエスカレーターは高低差135m、全長800m、23基のエスカレーターで構成されています。有名な香港映画
『重慶森林 / Chungking Express / 恋する惑星』のロケ地に使われたこともあり、香港映画に詳しくない私も、映画を見ずとも以前からこのエスカレーターこのことは知っていました。エスカレーターは1993年に完成し、映画は1994年のものですから、当時の香港人にも注目の場所だったということがうかがえます。
エスカレーターはそれぞれがとても長く、片側通行。朝の通勤・通学ラッシュ時間のみ、高台の半山地区の住人用に下り方向に進みますが、それ以外は上り専用。そのため、エスカレーターの反対側は階段があります。(上下線エスカレーターにしないところが無駄にお金をかけすぎなくて合理的よね、とこの時は思いました。)
エスカレーターを3-4基乗り継いだ辺りは飲み屋街。西洋人の多く集うバーやレストランが多く軒を連ねています。振り返って元来た坂の下を見下ろすと、かなり高くまで登ってきました。「長いエスカレーターである」ということしか予備知識を持たなかった私は、ここいらでそろそろエスカレーターの旅は終わりかと思いきや…いやいや、まだまだ!エスカレーターは続くのだ!上がっていくにつれ繁華街の喧騒は薄れ、やがては住宅と不動産屋が多くなってきます。ぐっと静かで落ち着いた雰囲気になり、人も姿もまばらに。
ちょっとかっこいいグラフィティもあったり…。でも、こうして通行人としてみているからグラフィティを見てかっこいいだの書いているけれど、自分の家の壁に描かれたら嫌だわ。
上にいけばいくほど住宅街。だから当然だけれど、スーパーマーケットもあればモスクだってある。生活に必須なものはなくては。牛乳や卵が切れたからといって、毎回エスカレーターの下まで降りて買い物にいくなんて億劫すぎるもの。
写真にはありませんが、このエスカレーターはひたすら上に向かうばかりではなく、時折、平らな歩道橋のようになっているところもあったり、既に開発の進んでいた住宅街の中を縫うようにして進んでいきます。観光目的としては、前半のエスカレーターを数基乗って、繁華街の賑わいのあるうちに坂の下に戻るので十分なような気もします。が、私は「香港エスカレーターの冒険」をしようと思ったわけなので、なにがなんでも(?!) 頂上を目指して進みます。マンションの明かりを見ながら「ここに暮らす人はどんな人なんだろうか?」、「部屋はどれぐらいの広さ?間取りはどうなの?」とか、思いを巡らせます。
そしてね、23基のエスカレーターを乗り継いでいつしか頂上にたどり着きました。日没頃に登り始めて、途中、中腹のスーパーマーケットで買い物をし、上に着いた頃にはとっぷり日が暮れて夜になっていました。ここは「Mid-levels / 半山地区」。住宅街の真ん中にぽつんと、立っていました。これにて香港エスカレーターの冒険完了!です。
この後は「さぁ、頂上も見たことだし戻ろうか?」と普通はなるわけですが、この時私たちはなぜか 娘の希望により「重量10kg+のベビーカー持参」の状態でここに来ていました。(絶対に必要ないのにさー)
このエスカレーターは基本 上り路線オンリー。階段は完備されていますが、ベビーカーを担いで下るのはしんどすぎる。日中は下山するバスも運行しているようですが、この時間帯はちょっと不明。タクシーに乗ってもいいけれど、すぐ来るとも限らないし。
そんなわけで一般的なルートではない、エスカレーターと対になった階段を使わずに、
住宅街のなかを歩きながら下山する「香港エスカレーターの冒険2」がすぐに始まったのです!(涙)