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北国の夏の始まり

先日、別途書くと言っていた、北欧の夏季の始まりを告げる4月30日に行われるお祭り「Valborgsmässoafton / Walpurgis Eve / ヴァルボルグの前夜祭」の話。

<風習の起源>
風習の起源は中世の時代、8世紀頃まで遡るといわれています。当時、スウェーデン他北欧諸国やドイツでは新しい年度の始まりは5月1日とされていました。そして、町に住む商人や職人達は心地よい夏シーズンの到来を喜び、前日には飲めや唄えやのどんちゃん騒ぎ(ある意味、忘年会? 前夜祭) をするのが習わしでした。
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(↑↑写真はあくまでもイメージとして。撮影時期も祭りの内容も違います。これは夏の結婚式にて。)

農民はというと、4月の末日には「Valborg / 村の指導者」を新しく選出する大切な集まりがあったり、卵料理(というより茹で卵) とシュナップス(スウェーデンのウォッカ) を食べるのが決まりでした。

農民にとって新しい年に切り替わるということは、厩舎で飼っていた牛などの家畜を再び野山に放牧することを意味していました。そして、家畜を狙う狼などの動物や魔女、トロールを森の奥深くへと追い払うため、村人たちは「Majbrasor / 威嚇の火」を焚き、空に向かって空砲を撃ち、カウベルをガラガラと鳴らしたり、叫び声をあげたりしました。

<現在のヴァルブルグ前夜祭>
今では新年は1月に変わっていますから、当時の「新年度」としての意味合いは失われてしまいましたが「夏シーズンの始まり」「Valborgsmässoelden / ヴァルボルグ前夜祭のたき火」は今もしっかりと引き継がれています。日本の初詣で古いお札や破魔矢を焼くのにちょっと似ているような気がするのですが、古い使い古しの段ボールや伐採した庭木、枯れ草、木片などを各々が持ち寄ってたき火の燃料にします。(あれ、ちょっと違う?)

また、この時期はちょうど学生にとっては年度末試験が終わる頃。あとは試験の採点結果と、夏休みを待つだけのちょっと解放された浮かれた気分に浸れるいい時期でもあります。そんな訳で、この日には酔っ払って羽目を外した学生たちの姿もみられるそう。たぶん、学生以外も酔っ払って騒いでいるので見分けはつかないと思うかもしれないけれど、学生は白地に紺色のツバのついた帽子をかぶっているのが目印なので、実は簡単。
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(↑↑行事は違うけれど、こんな帽子を被っているのが学生の証。はじけている雰囲気は一緒。)

ちなみに、5月1日から夏シーズンが始まるといっても、この日を境に夏らしい暑い日がやってくるというものではありません。あくまでの暦上のこと。

ところで、色々実際に見てきたかのように書いていますが、私はこの時期にスウェーデンには暮らしたことはありません。が、5月末に引越し前の下見でストックホルムを訪れていました。気温25度を上回るような陽気の日もあり、十分に「北欧の夏」と呼べる感じでした。
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by hanatomo31 | 2010-04-24 18:28 | スウェーデンSweden

座右の銘は「空腹は最高の調味料」 欲しいのは「食べても食べても太らない、魔法のカラダ」


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